1.運送事業許可を取得するための条件
ざっくり言って、運送業許可を得るために必要な条件は6つあります。
- 資金の確保
- 従業員の確保
- トラックなど5台以上の事業用車の確保
- 休憩所を含む事務所、すべての車を停めることのできる駐車場の確保
- 法令試験に合格すること
他に、従業員を社会保険に加入させることも条件です。
この中で特に重要なのが、「資金の確保」です。
具体的な金額ですが、800万から2000万と言われています。どのような内訳でこの金額が必要なのか、以下にあげます。
開業したのち2か月間の人件費、6か月間の事務所・駐車場の賃料、1年分の自動車税と保険料、となります。
この開業資金のために必要とされる額以上が、事業主の個人口座にあることを銀行、郵便局に証明してもらうため「残高証明書」を発行してもらい、運送業許可申請を行うことが最初のハードルと言えます。
他の運送業許可取得のための条件が揃っていても、開業するための資金が残高証明で証明できなければ、申請は受け付けられないので注意が必要です。
2.条件をクリアするのは結構大変
「従業員の確保」も案外難航しがちです。
トラックなど、運送用の車を5台以上用意することが必須ですが、車と同じだけのドライバーが必要となります。
会社の立ち上げに賛同してくれる仲間を、あらかじめ運送業に従事している間に見つけておくことをお勧めします。
また、「運行管理者」の資格を持った人ひとりが必要となりますので、それも考慮しましょう。
しかしドライバーは運行管理者にできません。ドライバー以外で運行管理者の資格を持っている人を確保してください。
「事務所・駐車場の確保」ですが、住宅の区画によっては、事務所や駐車場を作ることができない場所もあるので、注意が必要です。
もちろん、駐車場は所有する車すべてが駐車できることが条件です。
出入り口の幅なども決まっているので、よく調べておきましょう。
また、後回しになりがちですが、従業員を社会保険に加入させることも忘れないでください。
3.法令試験に合格することも必須条件
試験?今更勉強なんて嫌だよ、という方もいるかもしれません。
しかし、運送業をはじめようと思ったら、法令試験に合格することは必須です。
法令試験の他に運行管理者試験に合格する必要もあります。
受験する人ですが、個人事業主の場合は事業主本人が受験することが条件です。
法人の場合は、事業主でなくとも役員が受験すればいいことになっています。
しかし、受験できるのはひとりのみです。試験は二月に一度、奇数月にあります。
ですから、そのタイミングに合わせて、「運送事業許可」の申請を準備するといいですね。
試験が不合格だった場合ですが、試験は二度のみ受けることができます。
一度失敗しても再試験があるというわけです。
再試験で不合格だった場合ですが、他の条件がすべてクリアできていても、申請を取り下げ、再申請することが必要になります。
試験は二ヶ月に一度ですので、二度失敗したとなると、4ヶ月が無駄になってしまうので、試験には是非合格しましょう。
4.試験はどんな風なのか
試験ですが、運送業許可申請が受理されると、運輸支局から書面が届くので、申し込みをする必要はありません。
郵送の書類に受験の日時と場所が記載されています。 試験の内容は「運送管理者試験」の出題範囲と重なっていますので、すでにそちらで合格していればそれほど難しいものではないでしょう。
試験時間は50分。出題されるのは30問で、24問正解で合格となります。
◯×式と選択方式ですが、試験には条文集が配られます。
しかし、条文集は2センチの厚さですから、あらかじめ条文が頭に入っていることが必須です。
合格率ですが、60~80%となっています。じゃあ案外簡単なのかな?という油断は禁物です。
1問に2分も使えない計算ですから、しっかり暗記しなければ合格は難しいでしょう。
試験の結果ですが、試験実施日から1週間程度で郵便で通知が来ます。
勉強方法は、テキストや過去問をコツコツ紐解く地道な方法がセオリーです。
コツとしては、条文の目的、定義、義務を中心に勉強し、試験中に条文集から必要な条文を見つけることができるよう、よく条文を読み込むことです。
事前に勉強すれば、必要以上に不安になることはありません。
いかがですか?
試験なんて、学生時代以来という方もいるでしょうか。
しかし、これらの試験では、運送業を開業する上で非常に重要なことが出題されますから、怠らないようしましょう。